働き盛りの男性:老後資金「見えない不安」を「未来資産」へ変える賢い資産形成

投資・副業

はじめに

働き盛りの世代にとって、将来への漠然とした不安は常に付きまとうものです。特に、老後の生活資金については、多くの男性が頭の片隅で考えつつも、日々の忙しさにかまけて具体的な行動に移せていないのが実情ではないでしょうか。

かつては「会社員として定年まで勤め上げれば、退職金と年金で安泰」という時代もありました。しかし、現代は終身雇用制度が揺らぎ、年金制度にも不透明感が漂います。さらに、副業やフリーランスといった多様な働き方が広がる中で、「会社からの恩恵」に頼り切れない現実が目の前にあります。

今回は、そんな現代の働き盛りの男性が直面する「老後資金」という見えないリスクに焦点を当て、特に副業や独立を考える上で見落としがちな盲点と、それに対する賢い対策について深掘りしていきます。

自営業・フリーランスが陥る「老後資金の落とし穴」

最近、英国で興味深い調査結果が発表されました。アビバ(Aviva)の調査によると、多くの自営業者やフリーランスが老後のための貯蓄を怠っているというのです。

Most self-employed and freelancers failing to save for retirement, Aviva research finds

この調査では、英国の自営業者およびフリーランスの約3分の1が、老後の資金準備を何もしていないと回答しています。また、デジタルノマド(場所にとらわれない働き方をする人々)の間でも、約30%が同様の状況にあることが明らかになりました。さらに、個人型年金制度(SIPP: Self-Invested Personal Pensions やステークホルダー年金)についての認識も低いという結果が出ています。

これは何も英国に限った話ではありません。日本においても、会社員から独立したり、副業の比重が増したりする中で、同様の課題に直面する男性は少なくないでしょう。

なぜ、多くの自営業者やフリーランスは、老後資金の準備を怠ってしまうのでしょうか。そこには、会社員とは異なる構造的な問題と、個人の意識の問題が複雑に絡み合っています。

会社員と自営業・フリーランスの「老後資金」の決定的な違い

会社員の場合、通常は厚生年金に加入し、企業によっては企業年金制度もあります。給与から自動的に天引きされるため、意識せずとも老後資金の一部を積み立てていることになります。また、退職金制度も、長年勤め上げた社員にとっては大きな支えとなるでしょう。

しかし、自営業者やフリーランスの場合、厚生年金ではなく国民年金への加入が基本です。国民年金は、厚生年金に比べて将来受け取れる年金額が少ない傾向にあります。さらに、企業年金や退職金といった制度は存在しません。

つまり、自営業者やフリーランスは、会社員が自動的に享受している老後資金のセーフティネットを、自らの手で構築しなければならないという大きな責任を負うことになります。

この「自己責任」という意識の転換が、多くの人にとって難しい壁となっているのです。目先の仕事や収入の確保に追われ、数十年先の老後資金まで手が回らない。あるいは、具体的な制度や方法が分からず、何から始めていいか分からない。そうした状況に陥りがちです。

「見えないリスク」としての老後資金:働き盛りの今、なぜ意識すべきか

老後資金は、まさに「見えないリスク」の典型です。今すぐ困るわけではないため、危機感が薄れがちですが、その影響は将来、確実に現れます。人生100年時代と言われる現代において、リタイア後の生活期間はかつてないほど長くなっています。健康寿命と平均寿命のギャップを埋めるための医療費や介護費、あるいは趣味や生きがいを追求するための費用など、老後に必要となる資金は想像以上に膨大です。

この「見えないリスク」に、働き盛りの今から目を向けることが重要です。特に、副業を始めたり、独立を検討したりする際には、目先の収入アップだけでなく、長期的な資産形成の視点を必ず組み込むべきです。そうしなければ、自由な働き方を手に入れたとしても、老後の生活に不安を抱え続けることになりかねません。

過去記事でも、働き盛りの男性が直面する退職金がない現実と、賢い資産形成の重要性について触れています。
働き盛りの「見えないリスク」:退職金がない現実と、賢い資産形成

老後資金を盤石にするための賢い戦略

では、働き盛りの男性が、自営業やフリーランスとして、あるいは副業をしながら、どのように老後資金を形成していけば良いのでしょうか。具体的な戦略をいくつかご紹介します。

1. 個人型年金制度(iDeCo)の積極活用

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自営業者やフリーランスにとって、老後資金準備の強力な味方です。掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税、そして受け取り時にも税制優遇があるという、「トリプルメリット」が魅力です。

会社員時代に企業型DC(確定拠出年金)に加入していた方は、iDeCoに移換することも可能です。まずは少額からでも良いので、スタートを切ることが大切です。自動引き落としに設定すれば、意識せずとも着実に積み立てが進みます。

2. NISA(新NISA)を最大限に活用する

2024年から始まった新NISAは、非課税投資枠が大幅に拡大され、老後資金だけでなく、中期的な資産形成にも非常に有効な制度です。つみたて投資枠と成長投資枠を組み合わせることで、年間最大360万円、生涯で最大1800万円まで非課税で投資できます。

iDeCoとNISAは、どちらも税制優遇を受けながら資産を増やせる制度ですが、それぞれに特性があります。iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、老後資金に特化した制度。一方、NISAはいつでも引き出し可能なので、柔軟な資産形成が可能です。これらをバランスよく活用することで、より盤石な老後資金計画を立てられます。

3. ポートフォリオの多様化と長期・積立・分散投資

老後資金の形成において、特定の資産に集中するリスクは避けるべきです。株式、投資信託、債券、不動産など、複数の資産クラスに分散して投資することで、リスクを軽減し、安定的なリターンを目指せます。

特に、インデックスファンドを通じた長期・積立・分散投資は、投資初心者でも実践しやすく、時間という最大の味方を活用できる堅実な方法です。市場の短期的な変動に一喜一憂せず、淡々と積み立てを続けることが成功の鍵となります。

過去記事でも、市場のノイズに惑わされずに長期的な視点で資産を築くことの重要性について解説しています。
働き盛りの資産形成:市場のノイズと感情を退け、未来資産を築く

4. 専門家への相談を検討する

「何から手をつけていいか分からない」「自分の状況に合ったプランを知りたい」という場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談することも有効です。個人のライフプランや資産状況に合わせて、最適な老後資金計画を提案してくれます。

専門家への相談は費用がかかることもありますが、将来の大きな不安を解消し、効率的な資産形成への道筋を示す投資と捉えることができます。

5. 副業を「未来資産」形成の一部と位置づける

副業で得た収入は、単なるお小遣いや生活費の補填にとどまらず、老後資金形成のための「未来資産」として活用する意識を持つことが重要です。例えば、副業収入の一部をiDeCoやNISAの積立額に回す、あるいは不動産投資の頭金にするなど、具体的な目標を設定して運用することで、モチベーションを維持しやすくなります。

副業は、本業だけでは得られない収入源を確保し、経済的な自由度を高める手段です。その自由を、将来の安心へと繋げるための賢い選択が求められます。

まとめ

働き方の多様化が進む現代において、自営業者やフリーランス、あるいは副業を積極的に行う働き盛りの男性は、老後資金の準備において、会社員とは異なるアプローチが求められます。会社からの恩恵に頼り切れない分、自己責任で計画的に、そして積極的に行動することが不可欠です。

iDeCoやNISAといった税制優遇制度を最大限に活用し、長期・積立・分散投資を実践する。そして、必要であれば専門家の知見も借りながら、自分自身のライフプランに合った老後資金計画を構築していく。これらは、自由な働き方を手に入れる代償ではなく、むしろその自由を享受し続けるための賢明な投資と言えるでしょう。

「まだ先のこと」と先延ばしにせず、働き盛りの今だからこそ、老後資金という「見えないリスク」に真剣に向き合い、豊かな未来を自らの手で築き上げていきましょう。

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